お母さん
史上最強の敵であるお母さん
には一生、あたしは
敵わないんだ
きっと。
そりゃあもう生まれた時から
戦いは続いてたけど
勝ったことなんて
一度もない
お母さんの
ヅバリと痛いところをつく口唇
とか
嘘を見逃さない目
とか
どんなに叩いても絶対に割れない
鉄筋コンクリートのハート
(本人は否定するけど
お母さんのハートには
毛が生えている、あたしと同じ。
さすが親子!)
とか
自分を犠牲にしてでも
家族に尽すとことか。
身長も
残念ながら体重だって
お母さんに勝ってるけど
あたしは勝てない、
別に体なんて勝ちたくないのに、
だって昔はあんなに大きかったお母さんが
今じゃこんなに小さい。
お母さんが生きている証の
胸の鼓動たちは
急いで血液を運んでいる
何をそんなに急いでいるの?
訊いてしまったら今のお母さんが
もっと小さくなる気がして
やめた。
そして
あたしの鼓動たちは
マイペースにゆっくりだ。